老巨匠2人のモーツァルトは「純」なものへの憧憬と探求を感じさせます。K.453のアンダンテを聴いていると、澄み切った境地が感じられ、微妙に変化していく音の重さや硬さが生き物のように自然なものとして感じられます。ピアノと弦楽器、ピアノとオーボエ、ピアノとフルートまたはホルンの掛け合いや重なり合いは溶け合うような一体感があります。当然のことながらブレンデルとマッケラスという演奏家の性質上とても明晰な解釈と品格は保たれているのですが、K.414にしろ、K.453にしろチャーミングが曲想が存分に堪能できるので、リラックスして聴けます。「純」なもの、透明なものへと向かっていく様子が、何より素晴らしいモーツァルトでした。
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